その笑顔を見るとホッとする それは何故か? そんなの、答えは簡単だ 彼は 私を愛してくれている 故に、愛されているという感覚が 私を包み込むからだ 安堵 それが 私の心を包むから。 My desire for... ― 嫉妬 ― 景吾が会長室を去ってから数分後、ずっとソファに体を預けているわけにもいかず、立ち上がり 下着に手を掛けた 制服まで全て身に着けたところで入り口付近に設置された全身鏡で変なところがないかチェックする そして、気付いた 「…景吾め…」 制服を着ても見える位置に 紅い華。 それは、情事のしるし 残された痕。 「( …ま、いいいか )」 別段気にすることも無く、鍵と鞄を持ち、会長室を出た 鍵を閉め、テニス部へと向かう …今、思えば ちゃんと用があってテニス部に行くのは初めてかもしれない。 私は、あのレギュラー専用部室にも入った事がある。…そこでヤッたし 確か…ジローが彼氏だった時だ。 彼とは今でも時々寝る。だって、アイツは私の“癒し”に値する人物だから 「…」 「え?…っ!何で此処に?」 「別に。ちょっと顔が見たくて」 私がそういうことを言うのは珍しいため、は一瞬キョトン、とした後、すぐに笑顔になった。 少し、照れくさそうに 微笑う。 「ハハ、うっれしー」 自然とこっちも笑顔になる。 …こんな相手は 初めてだった 瞬間、の動きが止まった 何かを凝視するように、一点を見つめている。 …否、何か ではない。 私の首元だ。 紅い痕。情事のしるし。 私はそれに気付かないフリをする もすぐに、いつもの笑顔を取り戻した …彼は私のことが本当に好きだから こんなモノ1つで 傷付いたりするんだろう。 今までの相手は恋愛感情なんて無くて、こんなもの当たり前だと無視したり 寧ろ、「これ誰の?」なんて聞いてきたりもした その時 「」 凛とした声が 私たちの周りに響いた 「景吾。…はい、コレ」 チャリ、と鍵を渡す はそれをジッと見つめていた 「ああ。ありがとよ」 景吾は鍵をポケットに仕舞うと、「じゃあな」と言ってそのまま立ち去っていった 「…じゃあ、。バイバイ」 「おう、バイバイ」 キスを1つ受け取り、私は笑みだけを残しその場を後にした だから私は見ていない このときの、の狂気に満ちたような瞳を… 俺はが好きだ 初めは艶蝶、なんて呼ばれるほどの美しすぎる美貌は勿論、そのスタイルだって… 俺は、そんなものには興味なかった 俺が好きになったのは…の中身を知ってから。 ある日、俺は担任のオッサンに大きな箱と少量の資料と世界地図を運ぶよう言われた 俺は根が真面目なためしょうがない、と資料を一度に運ぼうとするが 「…重…ッ!」 それでも俺はフラフラしながら指定された教室へ向かう 途中の角を曲がる時、ただでさえフラフラしているのに視界も悪かった俺は、同じく反対側から角に向かって来た人物に気付かず どんっ バサバサバサ… 惨 劇 。 俺は尻餅をつき、相手も同じく。 「うわっ、ゴメン 俺」 慌てて立ち上がり、手を伸ばす 「ごめん。私は大丈夫よ 貴方は?」 向けられた目 澄んだ漆黒の目に射抜かれ、俺は言葉を失った 「…?」 彼女は立ち上がって、何も言わない俺を見て首をかしげた ―――…可愛い 「あ、あ ごめんっ!俺、前見えてなくて…」 「いいえ。私も、少し考え事を……、…この量は1人では多すぎるわ。手伝う」 「え、そりゃマジ悪いって!大丈夫だから―――」 「そう言ってまた誰かにぶつかったらどうするの。…私は資料と地図を持つから。目的地は?」 「…3-2」 「分かった」 スタスタと歩き出す彼女 それさえも綺麗で ドサッ 「ふぅーっ!ありがと、!」 「…私の名前、知ってるの?」 「そりゃ、有名だし。」 「そう」 刹那、細められた瞳 窓の外を見つめるその姿は 寂しそうで 儚くて ぐいっ 「え?―――…」 半ば衝動で重ねた唇 彼女は抗う事無くそれを受け入れ 「っ、は……結構、上手いのね」 「…好きだ。俺と 付き合って」 「……好き?私を?」 「おう」 「私がどんな女か 分かってるでしょ?」 「うん。でも、本気で好きだ」 「―――…それは 愛?」 「…愛」 迷う事無く言った俺に、は一度目を大きく見開くと、ふっと微笑んで、俺の頬を撫ぜた 「貴方、名前は?」 きっと、それは「OK」の意。 「…」 「、ね」 そして重ねられた唇は 甘かった やっとの思いで手に入れた彼女。 心が俺に向いているわけじゃないのは知ってる。 でも、他の男よりは俺を受け入れてくれているのは事実だ だから、俺は諦めない きっと、が独りが怖いと知っているのは俺だけ。ああやって微笑みあえるのも俺だけ。 でも 彼女は、俺の彼女でありながらも他の男と寝る。 …それは、付き合う前から分かっていたことだから 気にして無いと言えば嘘になるけど、まぁ、無視してた。 けど 先ほど付けられたかのような真新しい紅い痕、と呼ぶ跡部、景吾と呼ぶ、渡す鍵 そんなもの、確かな証拠がなくたって、分かる 「……っ」 好きで好きで好きで好きで好きで… ずっと、好きだった なぜか、跡部に抱かれたのだと思うと、無性に苛立った 取られる、と 思った 跡部だって、彼女以外の女とも寝るような男だというのに。 …とても、跡部が憎らしく思えて、部活中 ずっと睨んでいたのを、きっと 跡部自身も気付いてるだろう この感情が何なのか 俺は知ってる “嫉妬” 多分、が嫌いな感情。 だから俺はこの思いを心の奥底に潜める …消すことは出来ないと、確信を得ながら。 消 す こ と の 出 来 な い 感 情 が 増 え 続 け る こ と に な る の は 、 知 っ て い た け れ ど TOP / NEXT ( 06,08,10 ) ( 彼氏かわいそう。健気。 )( でもこの子は後々ゴニョゴニョ… )( 何 )
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